「集合意識」から「情動の社会学」へ
―デュルケーム社会学の現代的展開―

De ‘consciences collectives’ à ‘sociologie d’émotion’
-Développement acutuel de la sociologie durkheimienne-
科研費 基盤研究B(22H00904)2022年度~2025年度

ご挨拶

 このウェブサイトは、2022年度から2025年度にかけて遂行する科研費基盤研究B(22H00904)〈〈「集合意識」から「情動の社会学」へ~デュルケーム社会学の現代的展開~〉〉という共同研究の内容を紹介・発信するものです。以下、研究代表者からひとことご挨拶申し上げます。

 いきなり大上段からの話題になりますが、社会学という学問分野の特徴は何でしょう。日頃いろいろ考えてみるのですが、ひとことでいえば、欲張りであること、だという気がします。

 まず、とりあげるテーマが、家族・ジェンダー・教育・文化・宗教・エスニシティ・権力・職業・社会的格差・・・とたいへん多彩です。研究のスタンスも、原理的・理論的な謎解きをしようとするものから、それを応用的・実践的に展開してなにか世直しのヒントを呈示しようとするものまであります。理系でいえば、理学部と工学部がまるごと合体したような賑やかさです。さらに国際比較をしたり歴史を遡ったりと、時空の範囲にもリミットがありません。「未来の社会学」というようなものまであります。

 では一体なぜ社会学はこのように欲張りなのでしょうか。

 それは、社会学が対象とする人間という存在がそもそもあらゆる場面に関わっているからだといえるでしょう。社会的存在としての人間をさまざまな囚われからすこしでも解き放ち、互いに尊重しあいながらそれぞれが自由になる途をさぐる知恵をあつめる営み。それが社会学であるとするなら、人間が顔を出すあらゆる部面において何が起きているかを踏査していく必要がどうしても生じるのです。つまり社会学は、単に欲張りなのではなく、欲張りたらざるをえないといえるでしょう。欲張りではない社会学は、社会学ではないとさえいえるくらいです。

 これに加えて、対象へのアプローチや調査方法においても社会学は欲張りであり、常に古典の知に学びつつ現代的諸問題を解明しようとする点も大きな特徴です。そしてわれわれのこの共同研究はまさにそこに定位するものです。

 つまり〈〈「集合意識」から「情動の社会学」へ~デュルケーム社会学の現代的展開~〉〉という本科研のタイトルに現れているように、100年以上前に生きたフランスの社会学者エミール・デュルケーム Emile Durkheim(1858-1917)の遺した概念や着想に立ち返りつつ、その現代的な展開を図ろうというのがこの共同研究です。

 そしてここにいう「現代的」には、やはり欲張りに二重のものがこめられています。ひとつは、過去を引き継ぎつつ未来につながるものとしての現在の諸問題にアタックするという”現代性”であり、もうひとつは「感情」や「情動」という古くて新しい概念に光を当てるという”今日性”です。より詳しくは本サイトの「課題」や「研究計画」をぜひご覧ください。

 なお、この共同研究に名を連ねているのはいずれも、デュルケーム/デュルケーム学派研究会(2000年発足)のメンバーです。2018年度に完了した科研費研究での活動や、『社会学の基本 デュルケームの論点』(2021年刊、学文社)などへの執筆実績をベースに語らいを深め、今回のチームを立ち上げました。

研究代表者:国立大学法人 奈良国立大学機構
奈良女子大学文学部 小川伸彦

新着情報

よみもの」欄を更新しました。2024年3月のエヴァ・イルーズ教授来日連続セミナーについての記事をアップしています。NEW
成果」欄を更新しました。NEW
シンポ等案内」に、シリル・ルミュー来日講演に関するお知らせを掲載しました。
エヴァ・イルーズ教授来日セミナーについて。東京会場は定員に達したため、申し込みを締め切りました
シンポ等案内」に、エヴァ・イルーズ来日連続セミナーに関するお知らせを掲載しました。
よみもの」欄のエッセイを更新しました。
G.サルモン氏(CNRS,EHESS)による日本滞在記です。
サルモン氏は2023年2~3月、国際シンポジウム登壇のため来日されました。
成果」に業績を追加しました。
よみもの」欄の紹介コーナーを更新しました。
成果」に『社会学ジャーナル KAKEN22H00904』の第1号をアップロードしました。
成果」を更新しました。
国際シンポジウムの開催案内を更新しました。
よみもの」欄のエッセイを更新しました。
成果」に業績を追加しました。
本ウェブサイトを公開しました。
PAGE TOP